「なな~帰んで~」

仕事帰りいつものように

たろうの車に乗り込む。

「なな本間に笑わんなったよな」

たろうはぼそりと言った。

たろうに何度も言われた言葉…

その度に誤魔化していた。

もう無理だよ…

溜め込んでいた涙が

溢れそうになった時

たろうは私の手を握って

「ななの笑顔が見たいから

話してみ?」

優しく言った。

どうしてたろうは見抜けるのだろう…

私の小さな変化に気付くんだろう…

私は全てを話した。

まこが仕事をしていない事も

お金を勝手に使っていた事も

思っている事全てを話した。

今までは話せなかった。

付き合ってる以上

まこを悪く言われるのが嫌で

だらしないと思われるのが嫌で

話せなかった。

特にたろうは私の幸せを

願ってくれている。

幸せじゃない私を見せれなかった。