「たろうここにキスマーク

つけてや?」

証を残したかった。

見えない首の後ろのほうに

たろうの唇が当たる。

「んっ…」

吐息が漏れた。

「ごっついのんついたわ」

急いで鏡に首を映した。

「本間や。

ななもつけていい?」

だめもとで聞いたら

いいと言ってくれた。

そして私もたろうの体に

キスマークを残す。

「お揃いやな」

笑って言うと子供か!と

突っ込まれた。



消えないようにきつくきつく

証を残しても

時間が経てば消えてしまう。

それが寂しくて…

どうしようもないくらい嫌で…

消える前にまた新しい証を

たろうにつけてもらう。

何度も何度も。

たろうと愛し合った証を

残してもらった。