闇ばかりが包んでいた空に亀裂が入る.


ビリビリっと、白く先走る雷がずっと空間に浮かんでいるような怪しい空.



大樹の付近の雑草が力無くしおれ、色が落ちてゆく.
茶色く濁った草が土と同化してやがて跡形もなくなった.



塵が舞い、風が唸る.



大樹の先端部分を担う枝が吹き飛ばされ、大樹はだんだんと不格好になってしまう.


バキッ・・・


空間が揺れ、亀裂に巨大な赤黒い手が現れる.
亀裂をどんどん広げ、空を切り裂き、暗闇からは漆黒が覗けた.