ルームメイト

川口くんは中学でテニス部に入り、高校でもそのままテニスを続けたらしい。
高校時代はテニス部の部長を務め、インターハイに出た経験からK大にはスポーツ推薦で入ったのだそうだ。
『天下のK大』と言われるけれど、入学出来たのは自分の実力ではないと呟いた。
周りから羨望の目で見られるのは心苦しいし、実際には裏口入学した気分だと苦笑する川口くん。

「でも、それって川口くんの実力でしょ?」

そう話す私に川口くんは驚いた目をした。

「一生懸命 部活をしたから。
実績を残したから評価されたはずだもん」

私は真剣にそう思ったから。

「そんな風に言われたら…正直嬉しい」

ボソッと呟いた川口くんの顔が真っ赤になった気がした。