「ところでさ…」
「ん?」
「俺、追い出されなくてもいいんだよな?」
「…………。」
「なんか…その…
お前の事、気の毒に思うんだけどさ、
俺だって今更 行くアテねぇし…さ。
お前に変な事はしねぇし、この家のルールには従う」
「あの~」
「ん? 何だ?」
「さっきから黙って聞いてりゃ
『お前』『お前』って…。
私にはちゃんと日下部 蒼って名前があるんですから!
名前で呼んで下さい」
「日下部…さん?」
「日下部でいいです」
「んじゃ、クサカベ、な?」
「私は『夏木さん』とお呼びしたらいいですか?」
だって…年上だもん。
当然だよね?
「ナツキ、でいいよ」
「でも…目上の方ですから」
「同級生だろ?この際、年齢 関係ナシ」
こうして、私たちはお互いを苗字で呼ぶ事に決めた。
「ナツキ」と「クサカベ」。
入学前に出来た友人第1号。


