「由佳里には悪いけど
俺、お前に恋愛感情は持ってない。
俺にとっての由佳里は
母親の再婚相手の娘という立場なだけ。
妹、っていうか家族かどうかも微妙なんだ」

「どういう…意味?」

泣きながら由佳里さんは尋ねる。

「俺は渡辺の籍には入ってないんだ。
もともと親権は父親が持っていたし、成人した今、夏木の姓を取った。
おふくろから見れば俺は息子にはなるけど、お前の親父さんから見れば再婚相手の子供でしかない。
だから、あの家に戻る事もないし、よっぽどの用事でもない限りもう会う事もないと思う」