ルームメイト

「蒼ちゃん、どうしたの?」
心配そうに涼平が顔を覗きこんだ。

「ちょっと具合悪いから先に帰るってさ」

あいつの名誉の為にそうしておいた。

「なんだよ、マジ~?
それなら俺が送って行ったのに。
蒼ちゃんがいないんだったら、来た意味ないよ俺」

こんな話、他の女に聞かれたらマズイな。

カラオケに向かう列の最後尾で
涼平と話しこんでいたら
同じ工学部のヒトシが声を掛けてきた。

「俺、聞いちゃったんだよね…。
蒼ちゃん、無理矢理帰らされてた」

どういう事だ?

「丁度 トイレに行ったら女子トイレの方から声がしてさ。
アイツら明らかに唯目当てじゃん?
身内の蒼ちゃんが気に入らなかったんだろ。
頭数合わせで呼ばれただけなんだから、とか 一緒に帰るつもりなのか、とか。
随分ひどい事言うなぁって思ったよ」

そんな…。
俺のせいで蒼がイヤな思いをさせられたのか?

あいつにとって初めての合コンが
こんな酷い思い出になっちまうなんて。