Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第三話

「まあ、それよりも君!」
真琴は、少しまじめな顔をしてその少年に言った。
「気軽に玄関のドアを開いちゃだめだよ。ドアにのぞくレンズがついてあるでしょ?誰が来たのか確認してから開けなさい。君、可愛いから。たまに変なおやじがこの辺りをうろついている時があるから…」
「…僕は男だよ?」
「美少年が良いって奴もたまにいるのよ。ともかく、気を付けること。いい?」
「…」


しばらくの間、二人は無言のまま横隣になってジュースを飲んでいたが、ふいに真琴が立ち上がってベランダに向かい、窓越しに空を見つめて言った。
「いつまで続くかなあ、今年は梅雨が。」
「気象予報士の予測では、ここ数日で梅雨明け宣言が出るって言っていたはずだよ。でもまあ…」
と、そこまで答えてその少年は、再びあの奇妙な光景に目をやって言った。
「あれだけ照る照る坊主を吊せば、もっと早まるかも…」
「それは困る!」
「…何故?」