Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第三話

「いいえ、あなたはすぐに気がつくわ!これがまともな恋じゃないことに!」
体が勝手に動いていた。真琴は、うっとおしい、梅雨空を見ない為に閉ざされていた部屋のカーテンをつかむと、
「今日が私の、梅雨明けの日よ!」
と叫び、勢い良く開け放った!


…あんなにも、どんよりとしてうっとおしかった、様々な情念渦巻く美術室には、(いや、真琴の心の中は)すでに梅雨明け宣言がなされた快晴の日差しが並々とそそぎ込まれ、そこからようやく初恋の人の影を消すことが出来た。


…数日の後、真琴の部屋からは、一切の「降れ降れ坊主」は姿を消していた。そしていつか自分宛に手渡され、しかし一度も封を切ることのなかった初恋の相手からの手紙を、その日初めて真琴は読んだ。


…自分自身を正当化するわけではないのですが、聞くところによると、思春期のデリケートな年齢であれば、そう言う事がないわけではないそうです。