Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第三話

-織り姫星の相手は、あくまで…-


「…叶わない、許されない、恋。辛かったんだね…」
「!?」



「…私の話を真剣に聞いてくれた人は、私の初恋の真相に気づいてくれた男の人は、君が初めてだよ。どうして初めから、君に出会わなかったんだろう。
…私だって、あの人と別れてから、ぜんぜん恋をしなかったわけじゃない。雨降る夜には恋もたくさんしてきた。
でもね、雨上がりの朝目覚めて、『真琴』って、隣で笑いかけてくれる人はやはり、あの子とは大きく違うの。
…雨上がりの朝には、どんよりとした雨降りの朝と違って、真実が、眩しすぎるほどに、残酷な程見えてきちゃうのよ!」
真琴は、大きく身体を震わせて嗚咽した。
「…泣かないで。『真琴』さん。ようやく聞けた、あなたの名前。素敵な名前だね。僕の名前は、『夕霧ケイ』。お互い、自己紹介なんて今更だけれど…」


-…初恋の傷、請け負わせてよ-


ケイはそう言うと、左腕に巻かれた包帯を、自分に抱きつく真琴もそのままに、するするとほどき始めた。