Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第三話

「初めて…?」
「そう。」


二人が座席に着いてから十五分ほどたった後、本日のプログラムが上映された。


-水に関する星座達のプログラム、水恋伝(すいこでん)-


プログラムが始まる前までは、騒がしかった観客達も、一昔前の、ただ単にスライドを見せられて、係員のアナウンスを聞かされるだけのつまらない演出の枠を越えた、CGによる演出効果もあって、皆、天井に映し出される幻想世界の前に言葉を忘れ去っていた。
そしていよいよ、本日のプログラムの目玉である、七夕伝説に差し掛かったとき、不意にその少年は、真琴にそっと抱きしめられていた。
「…?」
「…暫く、このままでいさせて。」
「…うん。」


「…何で?何であなたは私の前から姿を消したの?…いいえ、理由は分かっているわ。あなたが言ってたその言葉通りなのよね…ただ、私が理解したくなかっただけ。
あなたは一度、私をここに誘った事があったわよね。あなたはもうすでに、その時に結論を出してたのよね…」