Romance Cutter ―初恋の傷請け負い人― 第三話

その少年は、真琴に言われるがまま、真琴の左隣にそっと座った。
と、その瞬間真琴は、その少年の頭を、自分の「力作」で軽くコツンとやった。
「!?何で叩くの?」
「いるんなら、いるって言ってよ!驚いたでしょ!」
「あっ、ご、ごめんなさい…」
「ん、もう!…まあいいわ。いつからいたかは知らないけれど、今度からは、こんなことしちゃだめよ、わかった?」
「うん…」
昨日と同じく、大した会話もつながらず、二人は目の前の風景を飽くことなくぼーっと見続けていた。



「…あのさ、君?」
「なあに?」
「今更どうでも良いことだけれども、何で昨日、私が知らない間に帰っちゃったの?」
「言ったよ、『雨あがったから帰るね』って。」
「本当に!?…やっ、やだ!私ったら、初恋の思い出に浸りきってたみたい。…でも、それよりもその時の話、どうせまじめに聞いてなんかくれてなかったんでしょ?」