主任は、言いづらいのか頭を掻いてる。

命日って…もしかして事件の被害者の…少女の?

やがて、決心したかの様に呟く主任。
「今日は……幸子の命日」
「幸子亡くなってるのかよっ!!」

私は真面目に聞いてるんだぞ?!

「それはひどいぞ?笙」
主任の話に、家紋さんが立ち上がった。
「そうだ、桜田が本気にする」
いえまさか!
本気にはしませんよ?昴さん。

「俺もひでぇと思うなぁ」
「僕も」
栗田さんと貢さんまで…。

だよね!私、真面目に聞いたのに…主任が応えてくれないんだもん…。
いや、言いずらいだろうけど、幸子は出さなくてもさぁ?

せめて知人とか言えばいいのに。

「笙、桜田さんに他に言う事があるだろう?」
家紋さんは、マグロを抱える主任の肩に手を置いた。
…家紋さん。
私の言葉を代弁してくれるつもりなんだ…。

「…言う事って何だ」
「言うべき事は、幸子の命日なんかじゃない…命日じゃない…なぜなら」

なぜなら…?

「幸子は、永遠に心の中で生きているから」
「はあぁっ!!」

何で幸子なんだよ!
この期に及んでまだ幸子出すかよっ!

「そうか!それは俺が悪かった!」

何に対して謝っちゃってるんだ!