「たのしい」

 肩を震わせて息を荒くした少女が小さくつぶやいた。
 飼育小屋の中には真白いウサギが5羽。
 その内、紅に染まるモノが2羽程あった。

「いけないのはオマエ達なんだからね」

 汗を拭う少女の腕には、色を滴らせたヒカルモノが握られている。
 夜はもう過ぎ、空が目覚めはじめていた。

「オマエ達がいるからッ!!」

 逃げ惑うその小さなモノ達を捕らえ、確実に1羽、また1羽と紅に染めあげる。
 表情を変えず、ただ、ただ、腕を振り降ろす。
 スカートにひらり、紅の色が舞った。

「あっ! ……ママに怒られるじゃない!!」

 怒りを込めて、最後の1羽に腕を振り降ろす。


 何度も……何度も……


 動くモノがなくなり、地べたがまだらな紅に染め抜かれ、ようやく少女は手を止めた。

 息を切らせ、嬉しそうに満面の笑みを浮かべる……







「ふふっ♪ これでペット買ってくれるよね、ママ」