彼岸花の咲く頃に

起き上がって周囲を見回していると。

「起きたのね」

そんな声が耳に届く。

…神社を下る石段。

その石段の辺りに、長い尾をユラユラと揺らす女の姿があった。

悪狐。

どうやら俺が目を覚ますまで、あそこに座っていたらしい。

「何なら。ずっとそうやって監視しとったんか」

朦朧とした意識のまま、俺は身構えた。

まずい。

まだ悪狐の妖気に体がやられているんだろうか。

体の感覚がおかしかった。