彼岸花の咲く頃に

姫羅木さんは悪狐の落ちた先を指差す。

そこには。

「あ」

尻尾が一本だけになってしまった、狐が横たわっていた。

最早人間の姿ですらない。

完全に只の狐の姿。

「妖気の源である尻尾を四本燃やした。あ奴はもうそこらの狐と変わりない。この冬城の地で、一から出直しじゃの」

そう言った姫羅木さんは、目を細めて笑っていた。

いつもの姫羅木さん。

如何に邪悪な九尾の狐と言えども、命までは奪わない。

無駄な殺生を好まない、優しい姫羅木さんに戻っていた。