「ボクにはアナタ方のような力は持っていませんので、何とも」

そう言って肩を竦めて見せる。

「そうだな。まっ、ありがたく貰っておく」

私は茶封筒をカバンに突っ込んだ。

「…あんまりありがたなくそうね」

「そうでもないさ。解決の方法を探る手段は、多いにこしたことはない。特に製造方法は知っておきたいところだった」

それを半日もせずに調べ上げるとは…。

…ヒミカはとんでもない男に好かれたものだ。

「話には聞いていたが、優秀な男だな。キシ」

「次期当主にお褒めいただけるなんて、嬉しいですね。一度お会いしたかったんですよ、マカさん」

初対面にも関わらず、何だかはじめて会った気はしない。