「う……見られた」



私は振り向くのが怖くて、早歩きでその場から逃げようとした。


「商店街で買うたんか?」


早歩きの私についてくるしつこいヤツ。






確かに……

この傘はお母さんが商店街で買ったけど。




でも、お母さん的にはめっちゃお気に入りやし、結構高かったって言うとった。




「かっこええ傘やろ!!」



私は傘で顔を隠したまま、背後にいる失礼な男に向かって言った。



「うわ!虎おるで。ひょう柄やのに、虎おるってどういうことやねん」



う……


虎だけは見られへんようにしとったのに。



ひょう柄の傘なら、まだどうにかオシャレにも見えそうやった。


でも、この傘には大きな虎が2頭……



「今年は、虎とひょうが流行るねん!!あんたそんなんも知らんのか?」


強気発言は、いつもの私の癖。



言った後に後悔するけどいつももうどうしようもなくなる。