それからは、二人で毎日話すようになった。
これまで滅多に会いに行かなかったのが自分で不思議になるくらい、葉が隣で笑っていないと落ち着かなくて。
彼女の帰宅中をねらって会いにいくと、いつだって可笑しそうに笑うのだ。
この五年間を忘れそうになるほどに、少しずつ癒されていくのが自分でも分かって。
人は妖怪よりも短命だと知っているのに、のめりこんでいく。
いずれ俺を置いて行ってしまうのに。

葉が夏休みになった。
俺が休み中に沢山のひまわりを見せに連れていってやると言ったら、微笑んで「約束だよ。」と彼女は言った。
神社の木陰でアイスを食べながら一日中話した。
小川で魚を捕って見せれば、魔法のようだと目を丸くした。
遠い海の思い出を聞いて、「一緒に行ってみたい」と言うと、顔を赤くした。
本当にあっという間に時間が過ぎて、楽しかった。
そんな日々で、七月は埋め尽くされ、八月が来た。