「レイは、ずっとひとりだったのね…。」
瞠目した。
独り。
…ああ、そうか。
俺は、独りだったのか。
「ごめんなさい。私には、レイの寂しさも、悲しさのかけらだって共有できない。」
「でも、」少女は続けた。
「私は、そばにいる。ずっと、レイの隣でレイを見てる。」



抗おうかと思った。
だが、少女の腕の中は熱くて、心地よくて。
意地もなにもどうでも良くなった。


ありがとうと、夕暮れを見ながら呟くと、うん、と彼女が返した。
隣から、顔をさりげなくのぞくと、初めて少女が綺麗なことに気がついた。
今まで見たどの女狐よりも、彼女は美しかった。