その手紙はひまわりのエキスの香りがプンプンしていた。

ヨシガズの顔を思い出した。

封筒を開けて手紙の内容を読むと、そこにはどこかの住所と電話番号だけだった。差出人の名前さえなかった。

その手紙はとても気味が悪く、不気味だった。

何か事件に巻き込まれるような予感…。

ももかは手紙を捨ててしまおうか迷って、とっておくことにした。

まだ事件が起きた訳じゃないのだから…。

次の日、魔法使いのお店のオーナーに手紙を見せて訳を話してみた。

オーナーは30代後半でショートカットの似合うかっこいい女性だ。

「良く言えば出会いだけど、相手に住所を教えてないのに手紙が届くって怖いわね。しかも相手は住所と電話番号だけ書いて、名前も書かないなんて。普通じゃないわよね…」
とオーナーはミルクティーをスプーンで何度もかき混ぜながら言った。

「絶対アブないわね…」
と言うオーナーは紅茶を淹れるのが上手い。
お店の小さなカウンターでそれを飲んでいた。

ふと窓ガラスからロンドンの街を見ていたら、通りすがりの背の高い黒髪の男性と目があった。

ゆっくり3秒ほどももかを見つめて行った…。

ヨシガズだった…!

鳥肌がたった。
オーナーに手紙を見せているのがバレたかな…?