亜利哀が悲しそうな声を出す。 「茨のお家は?」 もうなんだか、普通ではないことを前提に聞く。 「両親はどっちとも、あたしを産む前に死んじゃった。」 ケロリと言う。 まだ中三なのに。 「雨水、騙されてるから。茨を産む前に母親が死んだら、今ここに茨はいない。」 亜利哀は冷静に言う。 「え、嘘?」 まんまとはめられた私は茨に言う。 「どっちも死んじゃったよ、あたしら残してね。」 笑顔で言うから、すごく悲しくなった。 まだ中三なのに…。 私達は、大きな傷を背負っていた。