探偵バトラー ~英国紳士と執事~

「確かに私の通っている学校は富裕層の子息令嬢が多数いるが、全員を当たるとなるとなかなか骨が折れるな。同世代の友人も少ないし……」

「いちいち全員に聞かなくても、いつもグループの中心になってる奴っているだろ。そういう奴の所には自然と情報が集まってくるから、そいつらに聞けばいい」

 レーダー云々というオカルトはともかく、やることがわかったらさっさと行動してさっさと終わらせてしまうに限る。実在するかどうかも定かではないが、たとえ見つからなくてもオレは全く困らない。ロシュツ卿の滞在期間が過ぎるか満足すればそれでいい。

 いちいち突っ込んでも身が持たないのでオレはそう割り切ることにした。
「なるほど! 確かにその方法は理に適っているな。それならば何人か心当たりがある。早速情報を収集しよう」

 絵理は立ち上がると部屋に備え付けてある受話器を取った。その瞬間に内線通話の呼び出し音が鳴る。

 絵理はそのまま通話ボタンを押し応答した。

「どうした。……ふむ、解った。そのまま藤の間に案内してくれ」

 この離れの名称はどうやら藤の間というらしい。よくよく見ると欄間には藤の花の装飾が施されている。こういう細かいところに凝るのは金持ちの嗜みというやつなのだろうか。