探偵バトラー ~英国紳士と執事~

「先ほどの無礼な発言の数々、大変失礼致しました。取り乱してしまい大変申し訳ありません」

 こんな状況でも動じない絵理に頭痛と眩暈(めまい)を覚えつつも、オレは態度を一転させて目の前の露出狂に非礼を詫びた。絵理がこの状況に何の不都合も感じていないのであれば、オレがとやかく言う問題ではない。

 とりあえず淹れた茶を絵理とロシュツ卿に振舞った。畳の応接間で正座して紅茶を飲んでいる図はなかなかにシュールである。

それが赤ビキニ一丁の中年紳士と清楚な和風少女の組み合わせなら尚更だ。

 ロシュツ卿はオレの淹れた紅茶を一口啜ると、満面の笑みで感嘆した。

「美味い。レディ・エリが君の事を褒めるわけだ。これほど美味い紅茶は私も飲んだ事がない。茶葉もいい物を使っているようだが、なにより淹れ方が素晴らしいね。この紅茶が飲めただけでも日本に来た価値はある」

「恐縮です」

 取り乱してしまった気まずさも手伝い、短く無難な返事を返した。オレの事を咎め立てる様子もないから、もしかしたらあまり気にしていないのかもしれない。