美都は伸彦の手を振り払う。
彼の手が力なく落ち、体を震わせた。
彼は、しばらくの間部屋に座り込んでいたが、ふいに立ち上がると室から出て行った。
「好きだった。」
一言、ぽつりと言い残して。
美都は、唇を噛みしめた。
「あたしだって…、好き……。」
震えた声で出された言葉は、室に小さく響いた。