美都は、沙希の不安げな瞳に目を合わせると、「私も、大丈夫ですよ。」と答えた。
「そう…。」
こんな時でも、人の心配をしている姉に、美都は飢饉となった場合の彼女の姿が見えるように思えた。
「ですから、もうおやすみになって下さい。お体が弱いのですから。」
「おやすみ、美都。」と笑みを浮かべながら沙希は言った。
「おやすみなさい。お姉様。」
屋敷の外からは、鈴虫の声が響いていた。