『父上も、別に反対する気はないと言っている』 『え?』 『けれど白純美がどんな人なのか、見てからではないと、一概に“賛成”とは言えない、と』 確かにそれが正しいわ。 どんな人なのか、身分がどうこう言うより、印象を確かめないと、賛成も反対も、何も言えないわよね。 実際に、会わなくては。 『御両親にお会い出来ないの?』 『いや、むしろ会ってもらいたいのだけど…』 拓は立て掛けてある時計に目をやった。 11時25分。 こうして話しているうちにも、時は刻まれる。