「渉太ね、 美紅が好きなんだって」 「は…?」 「本当は前から 気になってたんだって。 あたしは眼中に なかったみたい」 はあ、とため息をこぼし、 観覧車を見上げる。 ちょうど頂上付近まで のぼった2人が見えた。 美紅が嬉しそうな 顔をして… 2人はお互い 抱き合った。 「やっぱりフェアじゃ なかったんだよ…。 ずるしたあたしに 罰が当たった…。 それだけ…」 下唇をギュッとかんだ。 落ちそうになった涙を 止めるために。 しばらく沈黙が続いて、 観覧車から 2人が降りてきた。