榊は一人、廊下を歩いていた。

耳が痛くなるほどの静けさがある。

プレートを両手に持ち、真剣な顔で歩く。

彼が向かっているのは、鐘のある場所だ。

本校舎の中心部は、鐘がある部屋までふき抜けになっている。

鐘の音を良く響かせる為に、そういう構造になっているのだと、前部長から聞いていた。

鐘のある部屋まで来ると、制服の胸ポケットから金色の鍵を取り出し、鍵穴に差し込んだ。

がちゃ…

本来ならば、鐘を鳴らすもの以外は持たない鍵。

しかしオカルト研究部の部長だけは、この鍵を代々受け継いでいた。

「…最後の封印にかかせない物だからね」