「ええ。今年も僕の担当はここなので。でも残念ながら、今年で最後なんですよ。来年には卒業してしまうので」

―まあ…―

ヒロイン役の女性が、一歩前に出た。

―寂しくなりますけど、どうぞ新たな場所でも頑張ってください―

「ありがとう。来年にはまた別の部員達が、あなた達の劇を見に来ますから」

―心より、お待ちしています―

役者達は笑顔で言った。

そして榊は、レンズのスイッチに触れた。

「吸引」

舞台がぐにゃりと歪んだ。