昔、水泳選手として期待されていた女子生徒がいた。

彼女は期待に応える為に、毎日遅くまで練習していた。

その頑張りは周りから見ると、少し恐ろしいぐらいに。

ある日、プールの水を取り替えなくてはならなくなった。

しかし彼女は練習をしたかった。

部の顧問や部員達には絶対にプールに入らないようにと言われた。

けれど彼女は誰もいない夜、プールに入り込み、一人で練習をはじめてしまった。

しかしプールに入ってから何だか調子がおかしいことに気付いた。

きっと夜、一人で練習している心細さがあるせいだろうと彼女は思った。

その日は満月で、明るい光が差し込んでいた。

けれどプールの水は闇を吸い込んだように黒かった。