「ぎっ…いやあああああ!」

再び絶叫、しかしここから逃げることはできない。

口はそのまま神無月を飲み込もうと、引きずり込むように蠢き出す。

「ううっ…」

イヤイヤながらも、レンズを本体の両目に写す。

―私を見なさい―

びくっ、と本体が動いた。

黒い穴に、赤い光が浮かび上がる。

その間も神無月の体はズブズブと穴に飲み込まれていく。

だが暴れるワケにも逃げるワケにもいかない。

このまま本体の眼をレンズに移し続けなければ。

やがて、本体の両目がレンズ越しに神無月を見た。

そこでレンズが白く光った。

「吸引っ!」

神無月が叫ぶと、本体が地面からベリベリ剥がれ始めた。

 ぐおおおおお!

大気が揺れる。