【林檎】



黒髪をセンターから分けて、軽く後ろに流してある。



22歳の虎君はスーツを着てバリバリ仕事中。



あたしと虎君の関係は一応秘密になってる。



ガラス一枚隔てて仕事をしてる虎君の第一秘書があたし。



相当偉い立場の虎君は厳しかったりする…。



「専務、1番に菊地様からお電話です」

「…………ん」



内線で話すことも仕事の話しだし…。



一応同棲始めたけど帰って来ないしさ…。



最近ラブラブしてない…。



「専務って彼女いるんですかね?」

「どうして?」

「あんな人に愛されたら死んでもいいなぁ~」



虎君の秘書は2人。



あたしと1つ下のコ。



もちろんあたしと虎君を怪しんですらいない。



「川崎、下に車回せ。出るぞ」

「はい、ただいま」



専門を先に卒業したあたしは先に虎君のパパの秘書経験アリ。



先輩秘書にビシビシ扱かれたよ…。



何度泣かされて虎君に慰めてもらったか…。