あたしを待ってたであろう翠君に荷物を取り上げられた…。



黒のスーツを着て、学校では見たことないビシッと閉まったネクタイ…。



聞いたこともない丁寧な言葉と、物腰柔らかな雰囲気…。



見違えるほどの変身ぶり…。



「オーナーより言付けがございます」

「ちょっとやめてよ!!き、気持ち悪い…」

「黙ってろチビ」



あっ、はい…。



翠君も大変なんだね…。



あの翠君があたしに『チビ』って言うなんて相当ストレスでも溜まってんじゃ…。



渡された紙を開くと、キレイな虎君の字が並んでた。



『PM8:00 15階のバー
虎之助』



短っ!!



で、これは来いって意味だよね?



超…嬉しい…。



久しぶりに会える!!



ワクワクした気持ちのまま、翠君の案内に従ってエレベーターに乗り込んだ。



「大変そうだね~」

「マジで。社会人って思ってた以上にキツっ。尊敬するよ、親父とか母ちゃんのこと。あと虎も」

「虎君?」

「大変だわ、アイツ」



そうなんだ…。