「遅い。10分の遅刻だな。」 ブラインドの隙間から 階下を見下ろす。 時計は、約束の一分前を さしている。 男の視界には 女が映っていて。 彼女はバイクに跨がったまま、 ヘルメットを乱暴にとった。 体の線を余すところなく見せる タイトな革の繋ぎは 彼女には窮屈なのか、 胸元があけられ 銀のペンダントが光っている。 彼女は 不機嫌そうな表情のまま 建物の中に消えた。