「尊敬って……」
「したくもなる。だって考えてみなよ。無名たる作者の作品が、何百件もアクセスされるんだ。
よほどの魅力がその作品になければ無理な話だろ?読み手を引きつけたくなる要素があってこそに成せる技術だ。
君の友人の言葉を借りるならば、文才描写がない。だがしかして、“それ以上”に読みたいと思う何かがあるのだろうと俺は思っている」
自分の考えを語る彼
確かに、大賞に選ばれるのは皆もとは無名の作者
そこから人気を取っていき、書籍化を果たすのだから尊敬すべき存在だ
読まれる何か
読み手を引きつけたくなる技術
「……。それでも、あなたが選ばれなかったのは納得いかないの」
正直な気持ちがそれだった
腑に落ちないという顔をしてれば、彼の笑い声が聞こえる


