書籍化されない作品



「本が出たら、真っ先に君にあげよう。夢なんかじゃ終わらせない。これは俺の『目標』だ」


絶対、絶対。そう繰り返し私の涙を拭く彼は優しかった


あの物語を執筆するのに相応しい指先は、私を癒やしてくれる


顔をあげれば澄んだ笑顔


「そのために俺はこれからも物語を書き続ける。もうしかしたら、見られない作品かもしれない。けど、意味はある物語。

書く度に作家は成長するからね。いつか、みんなが認めてくれる作品を書き上げるまでの積み立てだ。

諦めやしない。挫けもしない。書きたい衝動がある限り、俺は飛躍をしていって」


小指を出してきて、私の小指に絡ませた彼はとても無邪気な顔で


「全ての人が感動したという物語を仕上げよう」


約束(ゆびきり)をしてきた