書籍化されない作品



「どこが?」


「プロが集う文芸社では落ちるから、文章力なくてもいいケータイ小説なら自分の作品は受かるという甘さあたり」


「ああ、そっか」


「気づかない内だよ、本当に。ケータイ小説に文章力がないだなんて俺は思わないけど、そう感じている人たちはいっぱいいるはずだ。

偏見は偏見だけど、甘さも甘さ。レベルが低い場所と勝手に思い込んでいる場所で作品を書いて……、言わせるなら。『自分の作品はレベルが低い場所でしか認められない』と言っているようなものだ。

現実には、どこにもそんな甘い場所はないのにね。

まあ、俺みたくただ書きたいからという深い理由がない人もいるかもしれないけど」


空になったカップ

ごちそうさまと言うその彼は相変わらず綺麗な笑顔だった