書籍化されない作品



「嘘も何もない。事実だよ。第一、考えてみなよ。あー、確か。今回のケータイ小説大賞は……三千作品ぐらいの応募があったかな。締め切り前に完結しなかったのを省いても、俺の他に四桁の数の応募作品があったんだ。

そこから選ばれるなんてよくよく考えればかなりの難所だろ。そこを視点におけば、『何でこの作品が選ばれないんだ』という意見も言えなくなる。

下手したら、一般文芸社よりも倍率高いんじゃないかな。自分の実力でそこまでいける自信がある方が何だか凄いよ」


「確かに、凄い自信だわね」


「まあ、自信があるのは大切かもしれないけど。ついでに話せば、一般文芸社に送らずに、ケータイ小説の大賞だけに出す人なんかにも分かってほしいことがあるかな。

世間ではケータイ小説は甘いだの、文学じゃないだのと色々言っているみたいだけど。

そのイメージを持って、文芸社じゃなくサイトで書く人たちは気づかない内に自分の作品をけなしているんだ」