書籍化されない作品



「そんなにひどかったの」


「あんな作品を見てくれた人たちに土下座でもしたいぐらいに。まあ、そんなこともあってか学んだんだ。

今現在、自分は非の打ちどころがないほどの作品を書けている。そんな作品が読まれないのはただ単に読み手に恵まれないか、運がないだけ。

周りの人たちよりも俺の作品は文章がまとまっていてとても小説らしい。
なんてね、思っていた自分がその駄作を書いた自分だ。ああ、本当に恥ずかしい」


人生の汚点たることを語る彼もどこか楽しげだった


ああ、これもまた今の彼の“成長”に繋がるわけか


コーヒーをすすり、一段落したように彼は昔話を終える


「自分の実力を改めて見直せばいい。それでも尚、ケータイ小説では自分の作品は認められないなんて言うなら、そうだな……。一度一般の文芸社に投稿すればいい、かなり“鍛えられる”から」