吉野は若干驚いたようにしていたが、すぐに晴喜よ、と答えた。 「今日、ケーキ焼くのはね。 晴喜に頼まれたからなのよ。 作り方を教えて欲しいって。 ……それなのに、ちっとも来やしないんだから。参っちゃうわ」 「?」 晴喜は、ある意味単純なタイプだった。 自分でしないと決めた事は絶対にしないが、 自分ですると決めたら、何が起こってもする。 頑固で、融通が利かないが、信用は出来る。 奇妙だ、と思った。 言い出したのが晴喜なら、とっくに厨房に現れているだろう。