やっと監禁されていた部屋から飛び出した時から、 晴喜は奇妙な感覚に襲われていた。 酷く懐かしく、忌わしいその場所には、覚えがあった。 いつの間にか歩き方は、亡霊に怯えるようにびくびくとしていた。 しかし一歩一歩進むその度に、心臓を鷲掴みにされるように悲痛な、 誰かの叫び声が響いた。