晴喜は、低い男の声のした方向に、振り返る事が出来なかった。 見なくても分かる……この感覚。 晴喜は体を起こし、手首を重たげに持ち上げた。 ぽつりぽつりと錆びの浮かんだ、古めかしい手錠。 しかもご丁寧な事に、長い鎖が繋がっている。 だが、それ以上に晴喜は、自分の格好に眉をしかめた。