「何アイツら。張り合いゼロだな」
……そういうあなたは誰? 2年生、よね?
あたしの視線を独占するのは、腰まである黒い髪に、赤緑金のメッシュをいれた美人さん。
「平気?」
義姉たちの背中を見つめていた美人さんは、切れ長のグレーの瞳であたしを見た。
「……って、アンタ、今日急に教室から飛び出してきたやつじゃん」
「え……あ!」
忍の教室から出た時、「わっ!」って言った人!……なの? 振り返らなかったから、顔まで分からないわ。
「ごめんなさい……確認してる場合じゃなくて」
「まあいいけど。今の奴ら、気にしない方がいいよ」
気にしてないけど、ここはお礼を言うべきよね?
そう思って、ありがとうと言う前に「瑠雨!」と、大きな忍の声に遮られた。
「テメェこの! 今更現れやがってアホか! アホ!」
「うっせーな。顔見せにきてやっただけ有り難いと思え!」
……忍の知り合い?
「何言ってんの? 今何時だと思ってんの? 夕方5時ですから。部活始まってますから」
「アンタが学校来い来いうっさいから来てやったんだろ!」
「教室に来なきゃ意味ねぇんだよ! 主に廊下歩いてたらしいな! バカか!」
ちょ、ちょっと、何急に言い争い始めてるのよ。ギャラリーがめちゃくちゃ見てるじゃない……!



