「王子様ーだって」
「プッ……いくつだよ」
クスクスと鼻につく笑い方をして、一部の女子があたしを見ていた。
上靴のラインが緑ってことは、忍と同じ2年生ね?
「電波はひとりで妄想してろって」
「あははっ! それ余計イタくない!?」
……何なのかしら。もしかしなくてもあたしに言ってる?
「……義姉になりたいの?」
ポツリと呟いたあたしに、彼女たちは目を見開いてから「はぁ?」と言った。
「だってそうじゃない。シンデレラをバカにするのは義姉でしょ?」
「やっば……まじイカれてね?」
「忍たちにもからかわれてんでしょ、どーせ」
……ああ、何だ。
「あたしに負けそうで悔しいのね」
ニコッと笑うと、胸ぐらでも掴もうとしてるのかひとりの手が伸びてくる。
「――1年に何してんの、アンタら」
胸ぐらを掴まれそうになった瞬間、誰かの手が目の前を通った。
「っ村上!?」
「ちょ、行こっ」
白い手を振り払って、義姉たちは逃げるように去って行く。



