「……ん?」
校門を通ると、遅刻組のあたしとのん以外生徒はいないはずなのに、変な音がする。
地面をカートか何かでこするような……。
「なんの音? のん聞こえる?」
「聞こえるけど……なんだろうね」
ガラガラと近付いてくる音が後ろから響いていることに気付いて、振り向いた瞬間。
「わっ!?」
突風に襲われて思わず目を瞑った。だけどそれは一瞬で、フワリと浮いた前髪が額にかかる。
「……な、何?」
目を開けても何も、誰もいなくて。
「あ、あの人かぁー」
のんが発した呑気な声に視線の先を追えば、昇降口へ向かって勢い良くすべる――……すべる?
「スケボーしてる人、久々に見た」
「…………」
のんが楽しそうに見つめる先には、地面を蹴ってスケートボードで悠々と滑る人影。
ストレートの明るい茶髪がなびいてると思ったら、昇降口の3段しかない階段を軽々とスケートボードに乗ったまま飛び越えた。
その姿があまりにも衝撃的で、血という血が体中を駆けめぐる。



