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「来たか、苺」
昼休み、もはや足浮いてるんじゃないかという程ご機嫌にスキップしながら忍の教室に行くと、湊磨くんと大聖先輩を両隣に従わせた忍が声を掛けてきた。
「愛ーーーしてるっっ!」
「ヴェ!」
有り得ないジャンプ力を発揮して忍の首に抱き付くと、グギッ!と変な音がしたけれど、あたし、知らないふり得意なの。
「いいい苺ちゃん! 忍が! 忍が白目剥いてるから!」
「白目むいてても好きよ忍!」
そう、全ては愛。あたしの愛のデカさは世界い……。
「バカ苺!!! 離れろ! 忍を殺す気かっ!」
「っやー! 忍ぅぅぅう!」
湊磨くんに引っ剥がされて、必死に忍に手を伸ばすも既に忍は遙か遠く。……別の意味で。
いやいやいや、殺してないわよ。ちょっと忍の意識が遠くなっただけで……。
「ごめんなさいは?」
「……ごめんなさい」
危うく三途の川を渡るとこだったらしい忍に豪快なチョップをくらい、ヒリヒリする額を押さえながら謝るあたし。
「あのな、力任せに抱き付くのはヤメろ。分かったか苺」
「……きゅんってするわ、忍」
「ごめんなさいは?」
きゃー!! その命令口調がたまらない! もっと言って! もっと言ってほしい!



