「……苺ちゃん、あんまり期待しない方がいいよ? 大した用事じゃないと思うし」

「忍のことだから」と、苦笑いする大聖先輩に首を傾げる。


「どうして? あたし、忍に呼ばれたらどこだって喜んで行くわ」


キョトンとするあたしを、大聖先輩が少し寂しげに見てきて「そっか」と言った。


「まぁ、苺ちゃんなら大丈夫かな」


何不安げにしてるのかしら大聖先輩。大丈夫って何が?


「あたし、要件なんてどうでもいいわ。忍に会えるなら、それでいいもの」

「あははっ。うん、そうだね。頑張って。俺応援してるから」

「ありがとうっ!」


微笑んだ大聖先輩に笑い返す。


忍の親友が応援してくれるなら、この上ない味方になるわ!


「じゃあ、愛してるって忍に伝えといてっ」

「え? あ、う、うん」

「あーあ、大聖くんダメだよ応援するなんて言っちゃ」

「一生こき使われるんだぜ」

「人を性悪みたいに言わないでよ!」


睨むと、のんも燈磨も舌を出してから顔を背ける。


……このふたり、実は双子なんじゃないでしょうね。


「ははっ! ほんと3人とも仲良いね。……じゃあ要件はそれだけだから。またね」

「うん。ちゃんと伝えてね!100回くらい!」

「「多っ!」」

少ないわよ!


大聖先輩は笑いながら手を振って、教室を後にした。


……昼休み、早くこないかしら。