「まあ忍くんしか見えてないのは分かってるから許してやるよ」


ヤレヤレと首を振る燈磨を白い目で見つめる。


何? いつからそんなに偉くなったの? 言っとくけど燈磨に王子様の器なんてないからね? あってせいぜい使用人の器だからね?


「燈磨くーん! 陛くーん!」

「…………」


騒がしい廊下を見ると、頬を染めて手を振る数多の、女子。


「俺モテんなぁ」

「のぼる…って俺か。久々に呼ばれると分かんないや」


手を振り返す2人に「きゃー!」と喜んで去っていく女子達。


よく見ると、同じクラスの女子たちが「何あいつ等!」と怒っている。


……世の中ってほんと不平等。

あたしこれでもシンデレラ目指して日々自分磨いてるのに。


「苺ちゃーん!」なんて頬染める男子たちが入学してから一度も教室に現われないんですけど……?


「ん? どうした苺」

「オーラが暗いよ」

「うるさいわね! アンタらなんか王子様の器0よ!」


このエセ王子! 悪魔コンビ! 生まれ持った美貌なんて今すぐに消え失せてしまえばいい!


「なんだよヤキモチか?」

「燈磨なんて飴が喉に詰まって窒息すればいいのに」

「えげつなっ! つか地味!」


死ぬ時まで目立てると思わないでちょうだい!