「忍が密かに人気ですって!?」


最近やっと遅刻せず登校するようになったあたしの耳に、信じられない話が舞い込む。


「よくいるだろ、特別顔が良くなくても人気な奴って。まぁ忍くんは普通にかっこいい部類だと思うけど」

「そうそう。仕切り屋ってか盛り上げ役みたいな? 忍くんはホラ……周りがイケメンすぎるだけで」


燈磨が机の上にあぐらをかきながら言うと、のんは椅子に腰掛けながらふたりの前に立つあたしを見上げた。


「な……なんてこと」


ていうかふたりとも最後の言葉余計じゃない!? フォローしてるようにしか聞こえないんですけど!?


「忍はかっこいいわよ!」

「いやだからさ、そういう性格てかポジションで、割と整った顔してるから…イテェェエ!!!」

「きーーっ!!」


割とって何よふざけないでよ! 燈磨なんかより忍の方が100億倍格好いいわよ! 自分を何だと思ってるの!?


「忍は誰よりもかっこいいのよ!」

「だ~からぁ、とにかく忍くんは一部の女子には人気なんだって。教えてやっただけ有り難いと思え」


あたしに引っ掻かれた頬をさすりながら、燈磨はムスッとして呟く。


「忍が王子様だとしたら燈磨なんて糞よ、クソ」

「ああ!?」

「苺……シンデレラが糞なんて言ったらダメだよ」

「のんは鳥のフンよ、フン」

「やだよ俺王子様がいい」

「つうかどっちも同じじゃねぇかよ!俺らだって王子の器だっつーの!」


寝言は寝て言ってほしい。